飯島泰蔵さんの本を読んだ

思ったことなどをメモがてら書く.


今回読んだのはこの本.

視覚情報の基礎理論―パターン認識問題の源流

視覚情報の基礎理論―パターン認識問題の源流

飯島さんは部分空間法とか複合類似度法とかOCRとかその関連の人.

この本ではまず,画像とは何か?から入ってそこから,視覚情報の基礎方程式(電磁気学でのマクスウェル方程式のようなもの)を導出し,それを礎に様々な方向に発展させている.基礎方程式はアフィン変換に不変ってことを証明したり,最適な視野を求める方法(顕著性マップのようなもの?)だったり,空間エントロピーを求めたり,などなど.それらの中で文字認識のために具体的に実装したものが複合類似度法.

・基礎方程式は何を言っているかさっぱりで,現在これを理解している人はいるのだろうか?
・複合類似度の他にも様々な類似度を提案していて,その中に相互部分空間法のような,集合間類似度なども書いてあった.説明が全く書いてなかったが,結構ためになるのでは?などと思った.主成分分析の解析解についても述べていて,固有値の予測式も導出しており,これを使ったら面白いことできそうな気がした.
・どのように引用していたか分からなかったが,参考文献には大津展之先生の博士論文が書いてあった,やはり読んでみたい.
・パターン認識は認識の一番簡単な問題といっており,そろそろパターン認識から脱出して認識論に立ち戻ってもいい時期じゃないかなーなんて思ったり.

このような哲学から入って方程式を組み立てて実装までやる研究とか憧れる.


ちなみに,時系列の研究もしていたらしく,下のような本も書いているので,また機会があったら読んでみたい.

自然観測法の理論―瞬時性に着目した新しい波形解析法

自然観測法の理論―瞬時性に着目した新しい波形解析法


ディジタル自然観測法―時系列解析のための新しい理論

ディジタル自然観測法―時系列解析のための新しい理論